本記事では普通の電卓の機能をフル活用して、QC検定の計算を少しでも楽にこなしていくことを目指して解説していきます。
QC検定2級・3級では、関数電卓なしで高度な計算をこなす必要があります。
この記事では、試験で役立つ電卓の使い方を詳しく解説し、合格者が推奨する電卓を紹介します。練習問題を通じて、試験で確実に得点するためのスキルを身につけましょう。
試験本番と同じ電卓で練習しましょう。
QC検定の勉強を始めた当初、私は普段仕事で使い慣れていた関数電卓で問題を解いていました。途中式が表示されるため、計算がスムーズに進みます。しかし、試験前に実際の試験で使用する一般の電卓に切り替えたところ、メモリ機能を十分に理解しておらず、計算に予想以上の時間がかかりました。
試験本番で使う電卓を日常的に使用し、その機能を完全に把握しておくことが、合格への重要なポイントです。
電卓のメモリ機能とは
QC検定で持ち込みが許可されている一般的な電卓には、メモリ機能がついています。このメモリ機能を使いこなすと計算の手間がかなり減ります。
メモリ機能とはその名の通り、電卓が打ち込んだ数字を覚えていてくれる機能です。
この中でもグランドトータルの機能は独立メモリーでほぼ代替できるので私はあまり使っていません。なぜなら、どの時点の「=」から集計されるのかが分からなくなることがあるからです。任意のタイミングで[MC]ボタンを押してリセットできる独立メモリーの方をよく使います。
[MR]と[MC]ボタンが一緒になった[MRC]ボタンがついている電卓もありますが、おすすめしません。なぜなら、計算の途中でミスしてしまうと、同じ数値を呼び出せなくなり、試験中にテンパる原因になるからです。
これから電卓を買われる方は、[MR]と[MC]のボタンが分かれているものを選ぶことをお勧めします。分かれていれば何度でも独立メモリの数値を呼び出せます。
他にはボタンのサイズが大きいものを選んだほうがよいでしょう。多少かさばりますが、他の資格試験でも使えるので、打ち込みにストレスがないものを選ぶようにしましょう。
上記の特徴を備えた電卓で、私が実際に試験で使ったのはCASIOのJF-120GTです。また、SHARPのCS-S952-Xもおすすめです。
余談ですが[▶]または[→]のボタンは一桁だけ数字を消すボタンです。うっかり打ち間違えた時も一桁だけ消して、打ち直すことができます。
電卓のメモリ機能を使った計算例
QC検定2級での計算例を紹介します。
平方和の計算
平方和の計算は特に出題頻度が高いです。
QC検定では特に相関分析や実験計画法で平方和$S$を計算する機会があります。
例として平方和を計算していきましょう。
例:データ$x_i$の平方和
$x_i=1,2,3$
$n=3$
$\sum{x_i^2}-\frac{(\sum{x_i})^2}{n}=1^2+2^2+3^2-\frac{(1+2+3)^2}{3}=2$
電卓での打ち込み方法は次のようになります。CASIO系の場合2乗は[×][=]で計算できます。SHARP系はまた違うようです。
- [1][×][=][M+] (メモリに$1^2$が足される)
- [2][×][=][M+] (メモリに$2^2$が足される)
- [3][×][=][M+] (メモリに$3^2$が足される)
- [1][+][2][+][3][×][=][÷][3][=][M-] (メモリから$\frac{(1+2+3)^2}{3}$が引かれる)
これで[MR]を押せば平方和の計算結果2が液晶に表示されます。
分数の計算
分数の計算例として相関係数$r$と検定統計量$t$を計算してみましょう。
例:相関係数$r$
$S_{xy}=1,S_x=3,S_y=2$
$r=\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_xS_y}}=\frac{1}{\sqrt{3×2}}=0.41$
複雑な式のある方から先に計算しましょう。相関係数は分母の方がルート計算と掛け算を含むので複雑です。
[3][×][2][=][√][M+]
[1][÷][MR][=]
複雑な分母の式を独立メモリを使って計算し、単純な分子の式は普通に計算します。もう一例は無相関の検定でやってみましょう。
例:無相関の検定 検定統計量t
$r=0.5,n=7$
$t=\frac{r\sqrt{n-2}}{\sqrt{1-r^2}}=\frac{0.5×\sqrt{(7-2)}}{\sqrt{1-0.5^2}}=1.29$
分母の式を計算して値を記録させる
[1][M+][0.5][×][=][M-][MR][√][MC][M+]
[7][-][2][=][√][×][0.5][÷][MR][=]
QC検定2級の中でも難しい式ですが、一発で計算できました。
まとめ
QC検定2級、3級では、計算をいかに間違えずに早くこなすかが重要です。
普段関数電卓を使っていると意識しないかもしれませんが、一般の業務用電卓で複雑な計算をこなすには、メモリ機能を使いこなす必要があります。
メモリ機能を使いこなすことで計算速度が目に見えて向上します。余白に途中式の数字を書き込むのは時間がかかるため、合格のためには電卓の機能をフル活用しましょう。
QC検定2級の傾向を踏まえた対策を、下記の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
QC検定2級の傾向を踏まえた対策を下記の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
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