QC検定2級の合格を確実に目指すあなたへ。重要な公式をわかりやすく一覧にまとめた、完全網羅の公式集をご用意しました。テキストだけでは覚えきれない公式も、このリストを使えば効率よく学習できます。試験で頻出の公式をしっかり覚えて、合格を勝ち取りましょう!
また、QC検定の概要や過去問の傾向を踏まえた勉強法、さらにおすすめのテキスト紹介記事も併せてご覧ください。
公式集は適宜更新していきます。
記事に記載の公式は全て事前に確認しています。万一間違いを発見された場合はお知らせください。
検定
QC検定2級では、仮説検定の理解と適切な公式の使用が合否を左右する重要なポイントです。仮説検定の種類は多岐にわたり、試験ではどの仮説検定を使うべきかを判断すること自体が問われることがあります。ここでは、仮説検定の見極め方と、覚えておくべき公式を整理しました。
仮説検定の見極めポイント
仮説検定を適切に選択するために、次の2つのポイントに注意してください。
- 検定の対象:平均に対する検定を行うのか、それともばらつきに対する検定を行うのかを見極めます。
- 例: t検定は平均値の差を検定するために使用します。
- 母集団の情報:母集団の平均や分散が既知かどうかを確認します。これにより、使用する検定の種類が変わります。
- 例: z検定は母集団の分散が既知である場合に用います。
これらのポイントを押さえることで、どの仮説検定を使用すべきかを的確に判断できます。
統計検定量の公式
試験では、統計検定量の式そのものが出題されることも多く、特に次の点に注意が必要です。
データ数 $n$ と自由度 $n-1$ の使い分け:
仮説検定では、データ数 $n$ と自由度 $n-1$ が式に登場します。これらを正確に使い分けることが、問題を解く鍵となります。
t検定の統計量:
$t_0=\frac{\bar{x}-\mu_0}{\frac{\sqrt{V}}{\sqrt{n}}}$
カイ二乗検定の統計量:
$\chi^2=\frac{S}{\sigma^2}$
これらの公式をしっかり理解し、正確に適用できるようにしておくことが合格への近道です。初心者がつまづきがちな計算問題については以下の記事で解説しています。
平均とばらつきに対する検定の検定推定量
検定の種類 | 検定の対象 | 母分散の条件 | 自由度 | 検定推定量 |
Z検定 | 平均$\mu$ | 母分散$\sigma^2$既知 | – | $Z=\frac{\bar{x}-\mu_0}{\frac{\sigma}{\sqrt{n}}}$ |
T検定 | 平均$\mu$ | 母分散$\sigma_0^2$未知 | $\phi=n-1$ | $t_0=\frac{\bar{x}-\mu_0}{\frac{\sqrt{V}}{\sqrt{n}}}$ |
$\chi^2$検定 | $分散\sigma^2$ | – | – | $\chi^2=\frac{S}{\sigma^2}$ |
$F$検定 | 分散$\sigma_A,\sigma_B$の比 | – | $\nu_A=n_A-1$ $\nu_B=n_B-1$ | $F_0=\frac{V_A}{V_B}$ $V_A\geqq V_B$のとき |
表中の数式の説明
不偏分散$V=\frac{S}{n-1}$
平均の差の推定の検定推定量
特にややこしい平均の差の検定3種は別にしてならべました。
使い分けのポイント
- 母集団の標準偏差が既知であるかどうか。(問題文中で与えられているか。)
- データに対応があるか。
の2点です
データに対応があるかの判別について
例えば、
このときには同じ部材1個に対してA,B1組の測定データができるので、対応のあるデータになります。
対応のあるデータの場合、Aの測定データとBの測定データの総数は40個ありますが、検定に使うデータ数nは20になります。
今度は
このとき、AとBの寸法の平均に差があるか検定しようとすると,対応がないデータなので、データに対応がないときの差の検定を使います。検定にはAのデータ数$n_A=10$とBのデータ数$n_B=10$どちらも使います。
nがデータの総数を指すのか、データの組の数を指すのかを区別しましょう
項目 | 検定の対象 | 母分散条件 | 自由度 | 検定推定量 |
2つの母集団の平均の差の検定 (データに対応がない) | 平均の差 $\mu_A-\mu_B$ | 母分散$\sigma^2$既知 | – | $u_0=\frac{\bar{x_A}-\bar{x_B}}{\sqrt{\frac{\sigma_A^2}{n_A}+\frac{\sigma_B^2}{n_B}}}$ |
2つの母平均の差の検定(データに対応がない) | 平均の差 $\mu_A-\mu_B$ | 母分散$\sigma^2$未知 | $\nu_A=n_A-1$ $\nu_B=n_B-1$ | $t_0=\frac{\bar{x_A}-\bar{x_B}}{\sqrt{(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})V}}$ |
2つの平均の差の推定(データに対応がある) | 平均の差 $\mu_d$ | 母分散$\sigma_d^2$未知 | $\phi=n-1$ | $t_0=\frac{\bar{d}}{\sqrt{\frac{V_d}{n}}}$ |
表中の数式の説明
- 対応のないデータの差の不偏分散$V=\frac{S_A+S_B}{\nu_A+\nu_B}$
- 対応のあるデータの差$d=x_{Ai}-x_{Bi}$
- 対応のあるデータの差の平均値$\bar{d}=\frac{\sum{(x_{Ai}-x_{Bi})}}{n}$
- 対応のあるデータの差の不偏分散$V_d=\frac{\sum{(d-\bar{d})^2}}{n-1}$
計数値の検定推定量
二項分布(計数値の分布)に対して検定を行う場合は推定検定量も二項分布用に合わせる必要があります。
項目 | 検定の対象 | 母分散の条件 | 自由度 | 検定推定量 |
計数値の検定 | 標本不適合率p $p=\frac{x}{n}$ | – | – | $u_0=\frac{p-P_0}{\sqrt{\frac{P_0(1-P_0)}{n}}}$ |
相関分析/回帰分析
相関分析と回帰分析の公式をまとめています。相関分析と回帰分析の記事も書いています。
目的とする変数yと説明変数xが与えられた。(x,y)のデータの組がn組ある場合。
項目 | 公式 | 備考 |
xの平方和 | $S_x=\sum_{i=1}^{n}{{x_i}^2}-\frac{{(\sum_{i=1}^{n}{x_i})}^2}{n}$ | |
yの平方和 | $S_y=\sum_{i=1}^{n}{{y_i}^2}-\frac{{(\sum_{i=1}^{n}{y_i})}^2}{n}$ | |
x,yの積和 | $S_{xy}=\sum_{i=1}^{n}{x_iy_i}-\frac{(\sum_{i=1}^{n}{x_i})(\sum_{i=1}^n{y_i})}{n}$ | |
相関係数 | $r=\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_xS_y}}$ | |
相関係数の自由度 | $\nu=n-2$ | |
相関係数の棄却限界値 | $|\nu|\geqq r(\nu,0.05)$ | R表から棄却限界値を読み取る。 |
無相関の検定t値 | $t_0=\frac{r\sqrt{n-2}}{\sqrt{1-r^2}}$ | 問題文にかいていないことがある。 |
単回帰分析の公式
項目 | 公式 | 備考 |
回帰係数b | $b=\frac{S_{xy}}{S_x}$ | |
回帰式の切片a | $a=\bar{y}-b\bar{x}$ | |
回帰直線の推定 | $\hat{\mu_i}=\bar{y}+b(x_i-\bar{x})$ |
単回帰分析の分散分析表
項目 | 平方和 | 自由度 | 不偏分散 | 分散比 |
回帰 | $S_R=\frac{{S_{xy}}^2}{S_x}$ | $\phi_R=1$ | $V_R=\frac{S_R}{\phi_R}$ | $F=\frac{V_R}{V_e}$ |
残差 | $S_e=S_y-\frac{{S_{xy}}^2}{S_x}$ | $\phi_e=n-2$ | $V_e=\frac{S_e}{\phi_e}$ | |
全体 | $S_T=S_y$ | $\phi_T=n-1$ |
実験計画法
実験計画法の公式をまとめています。実験計画法の解説記事も書いています。
一元配置分散分析
平方和の計算法
修正項(correction term) $CT=\frac{ (全データの合計)^2}{全データ数}$
$S_T=\sumデータ^2-CT$
$S_A=\sum\frac{A_iデータの合計^2}{A_iのデータ数}-CT$
$S_e=S_T-S_A$
一元配置分散分析の分散分析表
項目 | 平方和 | 自由度 | 不偏分散 | 分散比 |
因子A | $S_A$ | $\phi_A=Aの水準数-1$ | $V_A=\frac{S_A}{\phi_A}$ | $F=\frac{V_A}{V_e}$ |
誤差e | $S_e$ | $\phi_e=\phi_T-\phi_A$ | $V_e=\frac{S_e}{\phi_e}$ | |
全体T | $S_T$ | $\phi_T=全データ数-1$ |
二元配置分散分析
平方和の計算方法
修正項(correction term) $CT=\frac{ (全データの合計)^2}{全データ数}$
$S_T=\sumデータ^2-CT$
$S_A=\sum\frac{A_iデータの合計^2}{A_iのデータ数}-CT$
$S_B=\sum\frac{B_jデータの合計^2}{B_jのデータ数}-CT$
$S_e=S_T-S_A-S_B$
二元配置分散分析の分散分析表
平方和 | 自由度 | 不偏分散 | 分散比 | |
因子A | $S_A$ | $\phi_A=Aの水準数-1$ | $V_A=\frac{S_A}{\phi_A}$ | $F=\frac{V_A}{V_e}$ |
因子B | $S_ B$ | $\phi_B=Bの水準数-1$ | $V_B=\frac{S_B}{\phi_B}$ | $F=\frac{V_B}{V_e}$ |
誤差e | $S_e$ | $\phi_e=\phi_T-\phi_A-\phi_B$ | $V_e=\frac{S_e}{\phi_e}$ | |
全体T | $S_T$ | $\phi_T=全データ数-1$ |
繰り返しのある二元配置分散分析
平方和の計算方法
修正項(correction term) $CT=\frac{ (全データの合計)^2}{全データ数}$
$S_T=\sum各データ^2-CT$
$S_A=\sum\frac{A_iデータの合計^2}{A_iのデータ数}-CT$
$S_B=\sum\frac{B_jデータの合計^2}{B_jのデータ数}-CT$
$S_{AB}=\sum\frac{(A_i B_jのデータの合計)^2}{繰り返し数}-CT$
$S_{A×B}=S_{AB}-S_A-S_B$
$S_e=S_T-S_A-S_B-S_{A×B}$
平方和 | 自由度 | 不偏分散 | 分散比 | |
因子A | $S_A$ | $\phi_A=Aの水準数-1$ | $V_A=\frac{S_A}{\phi_A}$ | $F=\frac{V_A}{V_e}$ |
因子B | $S_ B$ | $\phi_B=Bの水準数-1$ | $V_B=\frac{S_B}{\phi_B}$ | $F=\frac{V_B}{V_e}$ |
交互作用A×B | $S_ {A×B}$ | $\phi_{A×B}=\phi_A×\phi_B$ | $V_{A×B}=\frac{S_{A×B}}{\phi_{A×B}}$ | $F=\frac{V_{A×B}}{V_e}$ |
誤差e | $S_e$ | $\phi_e=\phi_T-\phi_A-\phi_B-\phi_{A×B}$ | $V_e=\frac{S_e}{\phi_e}$ | |
全体T | $S_T$ | $\phi_T=全データ数-1$ |
まとめ
QC検定2級で覚えておいた方がよい公式をまとめました。そのほか、QC検定の概要や過去問の傾向を踏まえた勉強法を解説した記事も掲載しています。ぜひご覧ください。
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