Planet Labsとは
Planet Labsは、米サンフランシスコに本社を置く宇宙企業です。2010年にNASA出身の3人の科学者が創業し、ニューヨーク証券取引所に上場しています(ティッカー: PL)。
同社が目指すのは、地球の変化を毎日記録することです。地球の陸地を毎日撮影し、その画像と分析データを売る。これが同社の事業の核です。
3社紹介の記事では「観測」を担う会社として紹介しました。この記事では、その仕組みとビジネスモデルをもう少し掘り下げます。
ポイントは「1機のすごい衛星」ではないことです。Planet Labsの強みは、小さな衛星を大量に飛ばし、毎日、同じ場所を撮り続けることにあります。
毎日撮る仕組み — DoveとPlanetScope
仕組みの鍵は、Doveと呼ばれる小型衛星の群れです。Doveは靴箱ほどの大きさの3U CubeSatで、1機では大した写真は撮れません。ですが約200機が群れで飛ぶことで、地球の陸地全体をほぼ毎日撮影できます。これが同社の主力サービスPlanetScopeです。
解像度は約3mです。車1台を見分けるような細かさはありません。代わりに得られるのは「いつ、どこが、どう変わったか」という記録です。同じ場所を毎日撮っていれば、作物の生育、森林の伐採、都市の広がり、災害の前後を、日にちを追って比べられます。
PlanetScopeの価値は、1枚の写真のきれいさではなく、アーカイブ(蓄積)にあります。ある地点が4年前のある火曜日にどう見えたか。そう聞かれたときに答えられる場所は、世界でも多くありません。
細かく見る仕組み — SkySatとPelican
毎日撮るDoveに対し、細かく見るのがSkySatと、その後継のPelicanです。こちらは狙った場所をピンポイントで撮る「タスキング型」で、解像度は50cm級。建物や車両、港の船の動きまで見分けられます。
SkySatは2017年にGoogleから買収したTerra Bellaの衛星群がもとになっています。Pelicanはその次世代で、解像度は30cm級を目指し、再訪する頻度も上がる設計です。さらにPelicanでは、撮った画像を衛星の上で処理する仕組みも載せ始めています。地上に送る前に衛星上で判断できれば、届くまでの時間を短くできます。
使い分けはシンプルです。まずDoveの毎日の画像で「どこが変わったか」を見つけ、気になる場所をSkySatやPelicanで細かく見る。広く見て、細かく見る。この2段構えがPlanet Labsの観測の形です。
見えないものを見る — Tanager
3つ目の衛星群がTanagerです。こちらは普通のカメラとは違う、ハイパースペクトルという撮り方をします。光を400以上の波長に分けて見ることで、目には見えないガスの漏れを捉えられます。
Tanager-1は2024年8月に打ち上げられました。Carbon MapperやNASAのジェット推進研究所との官民連携で作られ、メタンや二酸化炭素の排出源を特定・定量化するのが目的です。メタンは、どこからどれだけ漏れているかが分かれば、止める手立ても立てやすくなります。
Doveが「変化」を見る、Pelicanが「細部」を見るのに対し、Tanagerは「中身」を見る。3つの衛星群は、それぞれ違う問いかけに答えるためのものです。
ビジネスモデル — 画像を売るのではなく、データの購読
Planet Labsのビジネスモデルの特徴は、サブスクリプション型であることです。画像を1枚ずつ売るのではなく、毎日更新される画像と分析データへのアクセスを、継続課金で提供します。
顧客は農業、林業、地図、保険、災害対応、そして政府・防衛です。農家が作物の状態を見る、政府が国境や港の動きを確認する、保険会社が災害の被害を把握する。使い方は顧客ごとに違いますが、共通しているのは「変化を追い続けたい」という需要です。
最近は、政府向けに専用の衛星や容量を提供する「サテライトサービス」も広がっています。画像そのものではなく、観測能力そのものを買う形です。データの購読とあわせて、収益の柱が2本になりつつあります。
収益化の段階でいえば、調整後EBITDAとフリーキャッシュフローでは初の通期黒字に届いた年度があります。ただし純利益ではまだ赤字で、黒字化の道はまだ途中です。
3社の中での位置づけ — 打ち上げ・通信・観測
3社紹介の記事で分けた役割を、もう一度整理します。Rocket Labは「打ち上げる側」、AST SpaceMobileは「つなぐ側」、Planet Labsは「見る側」です。
Planet Labsは自社でロケットを持っていません。打ち上げは他社のライドシェアに依存しており、打ち上げ日程はそちらの都合にも左右されます。ここは展開計画を読むときの注意点です。
一方で、Planet Labsの衛星は小さくて軽いため、ライドシェアの相乗り枠に載せやすいという利点もあります。大型衛星のように専用の打ち上げを待たず、こまめに機数を補充できる。この「小ささ」こそが、毎日撮る仕組みを支えています。
注目ポイント
- Dove群の機数と更新ペース:毎日の撮影が維持できているか
- Pelicanの展開:30cm級の画像がいつ、どれだけ使えるようになるか
- Tanagerの広がり:メタン検出の実績と次の衛星の計画
- 政府・防衛向けの契約:受注残と収益化の進み具合
- サテライトサービス:専用衛星の契約がどれだけ増えるか
まとめ
Planet Labsは、靴箱サイズのDoveを約200機飛ばして地球の陸地を毎日撮り、SkySatとPelicanで細かく見て、Tanagerで見えないガスまで見る会社です。売っているのは画像そのものではなく、変化を追い続けるためのデータの購読です。「毎日撮る」「細かく見る」「中身を見る」。この3つを追うのが、この会社を見るいちばんシンプルな方法だと思います。

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